デザインの世界に「正解」はないとされています。よって我々デザイナーは試行錯誤を常とします。
しかしデザインに「最善解」はあります。
その最善解を導くため、以下の開発方針を心掛けています。
CI、VIデザイン開発における基本的な考え方
●情報共有が大切です
シンボルは、理念やビジョンなど、その組織にふさわしいイメージを凝縮表現した象徴です。
シンボルの主な役割は、
内に向けては、目指す組織像や価値観など想いの共有。
外に向けては「こういう組織を目指します」という価値観・姿勢など想いの視覚伝達になります。
また、名刺や看板などのアイテム展開では、そのシンボルの世界観を活かし、「その組織らしさ」を表出した一貫性のある視覚イメージの形成が図れるようにデザインシステムをつくります。
つまり、「形、色、言葉、しくみ」など複合的な要素の組み合わせで、「その組織らしさ(アイデンティティ)」を視覚表現していくわけです。
「その組織らしさ」を視覚化していくためにも、デザイナーはその組織を知るための情報が必要です。
理念やビジョンの情報共有はもちろん、明文化されていない「想いや背景、組織風土」などに発想のヒントがある場合も少なくありません。
特にトップの「想い」の部分は重要です。
受取側の心に響くものをつくるためには、発信側の心(想い)というのが大切なファクターになると考えます。
お聞かせいただいた情報から、開発基準を設定し共有します。
この開発基準は、シンボルを決定いただく際の選択基準としての役割も担います。
●アイデアの可能性を探ります
デザイン開発では、発想(アイデア)のステップがとても大切です。
アイデアに必然性や力のあるデザインは、独自性と印象性も高くなります。
アイデアは常に手描きのスケッチから始まります。手描きの方が自由な発想がひろがるためです。
広く深く、様々な可能性を探求します。
絞り込み段階では、展開性(アイテムへ効果的な展開がしやすいか)なども視野に入れます。
最終の1案を決めるための背景には、時に数百案というアイデアが存在しています。
これらは、側から見ると無駄と思われるかもしれませんが、
正解は無いとされるデザインの世界で、 依頼者も制作者も納得できる至高の一滴「最善解」を搾取するためには、
質・量ともに可能性を探るアイデアの数々は、必要な糧になります。
●シンプルを追求します
意味訴求
伝えたい想いはたくさんありますが、
情報過多なデザインでは、伝わる内容がぼやけてしまい、むしろ何も残らないという結果を生みかねません。
伝えたい情報を絞り、優先順位をつける事が大切です。
もっとも伝えたいことを第一伝達。次に第二伝達というように、伝達情報に強弱をつけます。
受取側の情報整理がしやすいように、伝わりやすいシンプルなデザインにします。
感性訴求
形と色の視覚的要素も同じです。
あれもこれも詰め込みすぎては、複雑なデザインになってしまい、受取側も何を受け取って良いのか混乱します。
ダイレクトに伝えるために、形も色も、無駄を削ぎ取り、できるかぎり単純化します。
シンプルなデザインは、あきのこない耐久性を備えます。
CI、VIは、単発的なキャンペーンマークや広告と異なり、耐久性が求められます。
10年、20年と永く使っていただけるよう、意味的にも感性的にもシンプルなデザインを目指します。
●意見交換を大切にします
決定までの開発プロセスにおいて、お互いの意見交換も大切です。
依頼者と制作者ではありますが、CIでは時にチームとなり、より良いものを作り上げて行く取り組みがとても大切です。
例えば、ご提案の複数のデザイン案に対しても、しっかり意見交換をし、
より良いものになるよう検証、改善、ブラッシュアップしていきます。
依頼者の込めたい想い、
専門家である我々デザイナーの知見や感覚、
お互いの情報や考えをすり合わせることが、最終的に良いものを作り上げていく上で大切なプロセスと考えます。
●細部にまでこだわります
「魂(神)は細部に宿る」の言葉の通り、 細部にこそ、真に心に伝わるものがあります。
最終デザイン案が決まった後も、精緻化作業というCIに精通したデザイナー視点からの最終調整を行います。
例えば、名刺やファビコンなど小さいサイズで潰れない再現性や、
看板やサイネージなど大きいサイズでの遠くからの視認性なども考慮し、造形面を細部まで調整します。
それ以外にも、太さや角度や色の周辺を検証し微調整したり、
気持ちの良い文字間隔を0.何ミリ単位で調整したり、カーブのラインの美しさを追求したり。
細部にまで徹底的にこだわり、再現性・視認性・審美性を高めます。
パッケージデザイン、グラフィックデザイン開発についても、基本的な考え方は同様です。
コンセプトを理解・共有し、「伝達性・独自性・印象性・視認性・審美性などの高いデザイン」を目指します。
一つひとつのプロジェクトに、感謝の気持ちで、真摯に誠実に取り組み、
こだわりを持って「最善解」を導きます。